この日、ぼくはアーティスト仲間に誘われて原発反対デモに参加
することになっていました。
でも実際に集合場所の日比谷公園に着いてみると、その異様な雰
囲気に面食らってしまいました。
みんなひたすら政府に対する罵声を発していて、そこにはマイナ
スのオーラが漂っていて、ぼくは一秒でもそんな場所にはいたく
ないと感じてしまいました。
それでそこから少し離れたベンチに座って野良猫と戯れていると、
ぼくを誘ってくれたアーティストがやってきました。
近くの喫茶店で、ぼくはその人と色々な話をしました。
「ぼくは原発反対!とかマイナスなことではなく、もっとプラス
なことで訴えたいんだ」とぼくは言いました。
ぼくが作ったプラカードには、“for our future”と書かれてありました。
「それは俺も思うよ。でも仕方ないんだよ。そういう抽象的な言葉
だと弱いんだ。だから政府に訴えるには具体的な強い言葉が必要に
なってくるんだよ」とその人は言っていました。
でもぼくはオノ・ヨーコさんやジョン・レノンが“Peace”だけで反戦
運動をしたように、プラスの訴えだけで行える方法やなんかもある
のだと思うのです。
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